妻のほうが年収が高い。
そういう家庭で子どもが生まれたとき、夫婦のどちらが仕事を優先し、どちらが育児を多く担うのか。
収入だけで考えれば、妻の仕事を優先した方が家計にとって有利な場合があります。
それでも、夫が仕事をセーブすることには、どこか抵抗がある。
私自身、妻のほうが収入が高い家庭で、子どもが生まれてから働き方について考える機会が増えました。
頭では、収入の高い方が仕事を続けやすい環境をつくるのは合理的だと分かります。それなのに、夫である自分が仕事を抑えて育児を担うことには、簡単には割り切れない部分もありました。
なぜ、そう感じるのでしょうか。
そして、実際に夫が育児を多く担う生活を選んだら、何が変わるのでしょうか。
以前の記事妻のほうが年収が高い家庭で、夫はどう働くべき?では、夫婦の働き方を全体的に考えました。今回は、夫が育児を多く担うという選択に絞って考えてみます。
妻のほうが稼ぐなら、夫が育児を担った方が合理的?
例えば、妻の年収が900万円、夫の年収が600万円の家庭を考えてみます。
子どもが生まれて、どちらかが勤務時間を減らす必要が出てきたとします。
同じ割合で収入が減ると仮定すれば、年収の低い夫が勤務時間を減らした方が、家庭全体の減収は小さくなります。
妻が重要な仕事を任されている時期なら、なおさら妻のキャリアを優先する判断には理由があります。
ただし、実際の収入減少は勤務先の制度や働き方によって異なります。育児休業給付、時短勤務時の給与、賞与、昇給への影響なども考慮する必要があります。
それに、収入だけで役割を決めると、夫婦のどちらかに不満が残る可能性もあります。
妻は本当は育児にもっと時間を使いたいかもしれません。夫も、今の仕事を続けたいと考えているかもしれません。
収入差は判断材料の一つですが、それだけで答えが出るほど単純な話ではありません。
夫が育児を多く担うと、家庭の生活はどう変わるか
「夫が育児を担う」という言葉だけでは、実際の生活はあまり想像できません。
例えば、保育園の送迎を夫が担当する場合を考えてみます。
朝は子どもの支度を済ませ、決まった時間までに保育園へ連れていく。夕方には迎えに行き、帰宅後は夕食、お風呂、寝かしつけが続きます。
子どもが熱を出したら、仕事を調整して迎えに行くこともあります。
夫がこうした役割を中心的に担えば、妻は仕事の予定を組みやすくなるでしょう。
一方で、夫の仕事には制約が生まれます。
夕方以降の会議に参加しにくい。急な残業に対応できない。出張の日程も調整が必要になる。
保育園の送迎だけなら何とかなると思っていても、子どもの体調不良や行事まで含めると、想像以上に仕事の予定が左右されます。
夫が育児を多く担うことは、単に妻の家事を手伝う時間を増やすことではありません。
子どもの予定を基準に、自分の仕事を調整する側になる。
その変化を夫婦で理解しておく必要があります。
育児を担うことで得られるもの
仕事を調整する負担はありますが、子どもと過ごす時間が増えることには魅力もあります。
小さい子どもの成長は早く、昨日できなかったことが今日はできるようになっていることも珍しくありません。
保育園から帰ってきた子どもの話を聞いたり、一緒に夕食を食べたり、寝かしつけをしたりする。
毎日のことなので、特別な出来事として記憶に残らないかもしれません。それでも、そうした時間を積み重ねられることに価値を感じます。
また、育児を日常的に担当することで、子どもの生活について自分で判断する場面も増えます。
何を食べさせるか。体調が悪そうなときにどうするか。保育園に何を準備するか。
妻に確認してから動くのではなく、自分で考えて対応する。
育児の負担が増える一方で、父親としての経験も増えていきます。
もちろん、育児には楽しい時間ばかりがあるわけではありません。思うように予定が進まず、疲れがたまる日もあります。
仕事と同じように、育児にも責任と負担があります。
それでも「男なのに稼がなくていいのか」と思ってしまう
妻の収入が高く、夫が育児を多く担う方が家庭に合っている。
そう考えられる状況でも、気持ちが追いつかないことがあります。
私が気になるのは、夫が仕事をセーブすることを、どこかで「自分の価値が下がること」のように捉えてしまう感覚です。
夫婦の年収を比べれば妻の方が高い。それでも、自分ももっと稼ぐべきではないかと考えてしまう。
その背景には、男性は家計を支える側であるべきだという価値観があるのかもしれません。
ただ、こうした抵抗感をすべて古い価値観の問題として片付けるのも違うと思います。
仕事には収入以外の意味もあります。
これまで積み重ねてきた経験や専門性、職場での役割、今後のキャリアへの期待。
それらを簡単に手放したくないという気持ちは、男性だからという理由だけで生まれるものではないでしょう。
夫が育児を多く担うことに迷ったときは、周囲からどう見られるかという不安と、自分が仕事を続けたいという希望を分けて考えた方がよさそうです。
前者に縛られているなら、考え方を見直す余地があります。
一方、後者まで我慢してしまえば、家庭のために選んだ働き方が、自分にとって苦しいものになるかもしれません。
夫が育児を担うと、キャリアはどうなる?
ここは現実的に考えておきたいところです。
育児のために勤務時間を短くしたり、残業や出張を制限したりすれば、仕事内容や評価に影響する可能性があります。
責任の大きな仕事を任されにくくなることもあるでしょう。
育児が落ち着いたら再び仕事に力を入れればいい、と考えることもできますが、数年間の働き方がその後のキャリアに影響しないとは言い切れません。
だから、育児を多く担うと決めるときには、今の生活だけでなく、数年後の自分についても考えておきたいと思います。
例えば、次のような選択肢があります。
- 今の会社で勤務時間や残業を調整する
- 在宅勤務やフレックスタイム制度を利用する
- 育児と両立しやすい部署への異動を相談する
- 転職して働き方を変える
- 一定期間は育児を優先し、その後の働き方を改めて考える
どの方法にも条件や制約があります。
特に転職や退職を伴う場合は、再就職のしやすさ、収入の見通し、社会保険や将来の年金への影響なども確認しておく必要があります。
育児を優先する期間を設けることと、今後の仕事をどうするかは、セットで考えたい問題です。
家庭を優先しながら仕事を続ける方法については、家庭を優先しながらキャリアを築く方法でも整理しています。
妻の収入に頼ることへの不安
夫が育児を多く担う場合、家計に占める妻の収入の割合が高くなることがあります。
そのとき、「妻に経済的に依存しているのではないか」と感じる人もいると思います。
しかし、共働き家庭では、夫婦が同じ金額を稼がなければ対等になれないわけではありません。
妻が仕事を続けられる背景には、夫が担っている育児や家事があるかもしれません。
反対に、夫が仕事に集中できるのも、妻が家庭を支えているからという場合があります。
家計への貢献は給与明細だけでは測れません。
ただし、妻の収入が高いからといって、家計を任せきりにしてよいわけでもありません。
万が一、妻が働けなくなった場合にどうするのか。
夫が仕事をセーブする期間はどれくらいを想定するのか。
貯蓄や保険でどこまで備えるのか。
こうした点は、収入の高低にかかわらず夫婦で確認しておきたいところです。
夫婦の役割分担は、途中で変えてもいい
子どもが生まれたばかりの時期と、小学校に入ったあとの生活では、必要な育児の内容が変わります。
妻の仕事が忙しい時期もあれば、夫がキャリアを優先したい時期もあるでしょう。
一度決めた役割分担を、何年も固定する必要はありません。
例えば、子どもが小さい間は夫が送迎や急な呼び出しへの対応を中心に担い、数年後に仕事の比重を増やすことも考えられます。
反対に、妻が仕事を調整し、夫が仕事に集中する時期があってもよいと思います。
夫婦で話し合うときには、今の役割だけでなく、いつ見直すかも決めておくとよさそうです。
半年後や1年後に、お互いの負担や仕事への気持ちを確認する。
最初に考えた分担がうまくいかなければ、そのときに変えればいい。
子どもの成長も仕事の状況も変わっていくのですから、家庭の形も変わっていくのが自然だと思います。
私は、仕事以外の時間も大事にしたい
子どもが生まれる前は、仕事を中心に生活を組み立てることに、それほど疑問を持っていませんでした。
でも、育児に時間を使うようになってから、以前と同じ働き方を続けたいのか考えるようになりました。
もちろん、収入は必要です。
これまで積み重ねてきたキャリアを、簡単に手放したいわけでもありません。
それでも、子どもが小さい今の時間を、仕事だけで埋めてしまうことには抵抗があります。
妻の収入が高いという家庭の状況は、自分の働き方を考え直すきっかけにもなっています。
夫が育児を多く担う生活が、すべての家庭に合うとは思いません。
ただ、わが家のように妻の方が収入が高い家庭では、夫が仕事を少し抑えるという選択を、もっと普通に考えてもよいのではないでしょうか。
男性だから仕事を優先する。
女性だから育児を優先する。
そうした役割を先に決めるより、夫婦それぞれがどんな生活を望んでいるかを話し合う方が、納得できる形に近づけそうです。
まとめ|妻が高収入なら、夫が育児を多く担う選択もある
妻の方が年収が高い家庭では、夫が育児を多く担うことで、家計と仕事の両立がしやすくなる場合があります。
ただ、夫のキャリアへの影響や、妻がどのような働き方を望んでいるかも考える必要があります。
私自身、育児に時間を使うようになってから、仕事を続けることと、家族と過ごすことのバランスを考えるようになりました。
今の収入だけで役割を決めず、数年後の働き方まで含めて夫婦で考えていきたいと思っています。
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