妻の収入が高い家庭で夫が転職するとき、年収より重視したい5つの条件

仕事・キャリア

妻が高収入だからこそ考えたい、夫の「年収を下げる」という選択という前回の記事では、年収を下げるという選択について、「年収と引き換えに何を得るのか」を考えることが大切だという話をしました。

では、実際に転職先を選ぶとき、年収以外の何を基準にすればいいのでしょうか。今回は、その具体的な評価軸を整理していきます。

なお、この記事は「転職した方がいい」と勧めるものではありません。転職を検討する際に、これまでのように「年収」「会社名」「役職」だけで判断するのではなく、家庭との両立という観点から、求人や会社をどう見ればよいかを整理するものです。

妻の収入があるからこそ、見えてくる条件がある

妻の収入が高い家庭では、夫が必ずしも年収の最大化だけを目指さなくてもよい場合があります。その分、時間、働く場所、家庭との両立のしやすさ、仕事内容、将来のキャリアといった、これまで後回しにしがちだった条件に重みを置ける可能性があります。

ただし、これは「妻が稼いでいるから夫は楽な仕事を選べばいい」という話ではありません。妻の収入が高いこと自体を、優れたことや当たり前のこととして扱うつもりもありません。家庭によって、家計の状況も、何を優先したいかという価値観も異なります。ここで紹介する条件は、年収以外にもこういう見方があるという選択肢の一つとして捉えていただければと思います。

同じように、夫の年収がこれまでより低くなることや、これから低いままであることも、否定的に扱うべきものではありません。あくまで、家庭全体としてどんな働き方・暮らし方を選びたいかという話です。

それでは、5つの条件を順番に見ていきます。

条件1|残業時間・勤務時間

まず基本になるのが、残業時間や勤務時間です。

ただ、単純に「残業が少ない会社がいい」という話ではありません。大切なのは、それが実際の生活にどう影響するかという視点です。

  • 何時ごろに帰宅できるか
  • 保育園や学童のお迎えに間に合うか
  • 平日に子どもと過ごせる時間がどれくらいあるか
  • 残業が「たまにある」のか「常態化している」のか

求人票に書かれている勤務時間は、あくまで制度上の数字であることも少なくありません。実際にどれくらい残業が発生しているのか、可能であれば面接の場で直接尋ねたり、その会社に勤めている人の口コミなどを通じて確認しておきたいところです。

「残業が月◯時間以内」という基準を一つ決めておくだけでも、求人を比較するときの一つのものさしになります。

条件2|在宅勤務・フレックスタイムなど、働く場所と時間の柔軟性

在宅勤務やフレックスタイム制度も、家庭との両立を考えるうえで気になる条件の一つです。

ただし、「在宅勤務なら育児がしやすい」と単純に考えるのは注意が必要です。在宅勤務中も基本的には仕事をしている時間であり、その時間に育児ができるわけではありません。

一方で、以下のような形で家庭との両立をしやすくする要素にはなり得ます。

  • 通勤時間を減らせる
  • 保育園の送迎と勤務時間の調整がしやすくなる
  • 子どもの急な体調不良などに、ある程度対応しやすくなる場合がある

また、「制度として存在する」ことと、「実際に使いやすい雰囲気があるか」は別の話です。制度はあっても、実際にはほとんど使われていない、というケースもあります。「フレックスタイム制度あり」と書かれていても、実際には皆が同じ時間に出社している、といったこともあり得ます。求人情報だけでなく、実際の利用状況まで見ておけると安心です。

条件3|通勤時間

通勤時間は、給与の金額には表れませんが、日々の生活時間には大きく影響します。

たとえば、片道60分の通勤が片道30分になれば、往復で1日1時間、平日5日で考えると週に5時間の余裕が生まれる計算になります。この時間を、子どもとの時間や自分の休息にあてられるとしたら、決して小さな違いではありません。

年収という金額だけでなく、「時間」もまた、仕事から受け取っている条件の一つだと捉えてみると、見え方が変わってくることがあります。

条件4|育児への理解・休みやすさ

会社や職場が、育児に対してどれくらい理解があるかという点も重要です。

福利厚生の制度が用意されているかどうかだけでなく、次のような点も確認しておきたいところです。

  • 男性の育休取得の実績があるか
  • 子育て中の社員が実際に働いているか
  • 有給休暇を取りやすい雰囲気があるか
  • 子どもの体調不良などで急に休むことへの理解があるか
  • 上司やチームの雰囲気

ただ、こうした点を外部から完全に判断するのは簡単ではありません。求人情報や企業サイトに「育児支援制度あり」と書かれていても、実際にどの程度活用されているかまでは分からないことも多いものです。面接や面談の場で、「実際にお子さんがいる社員の方はどのくらい働いていますか」といった質問をしてみることで、制度と実態のギャップが見えてくることもあります。

条件5|仕事内容・キャリアの継続性

最後に、仕事内容そのものと、キャリアの継続性についても触れておきたいと思います。

家庭を優先するからといって、仕事内容を何でもよいことにする必要はありません。働きやすさだけを優先して転職した結果、仕事への興味や成長の機会をほとんど失ってしまうと、後になって後悔につながる場合もあります。

  • これまでの経験を活かせる仕事かどうか
  • 自分の専門性を維持・発展させられるかどうか
  • 将来、仕事の比重を増やしたくなったときに、選択肢が残っているかどうか

子どもが成長するにつれて、今よりも仕事に時間を使いたくなる時期が来るかもしれません。そのときに、今の選択が足かせにならないかどうかも、あわせて考えておきたい視点です。

以前の記事でも触れたように、育自研究室では「家庭を優先すること」と「キャリアを諦めること」は同じではないと考えています。「今の働きやすさ」と「将来のキャリア」の両方を見る視点を持っておくと、転職先を選ぶ際の判断がしやすくなります。

まとめ

ここまで、年収以外に見ておきたい5つの条件として、残業時間・勤務時間、働く場所と時間の柔軟性、通勤時間、育児への理解・休みやすさ、仕事内容・キャリアの継続性を整理してきました。

妻の年収が高い家庭で、夫はどんなキャリアを築ける?選択肢を整理するという前回の記事で紹介したように、転職は夫のキャリアを考えるうえでの選択肢の一つに過ぎません。ただ、実際に転職を検討する場合には、年収という一つの数字だけでなく、こうした条件を含めて総合的に見ていくことで、家庭にとっても自分自身にとっても納得感のある選び方に近づけるはずです。

5つすべてを完璧に満たす求人は、なかなか見つからないかもしれません。その場合は、自分たち家庭にとって何を優先したいのかを、5つの条件に照らして順位づけしてみると、判断の軸がはっきりしてきます。

条件が分かったら、次に気になるのは「実際の求人から、どうやってこれらを見極めるか」という点だと思います。次回は、求人票や企業情報のどこを見ればよいか、より具体的に整理していきます。

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