メーカー研究員は、Webライターに向いているのでしょうか。
結論から言えば、研究職で身につけた経験の中には、Webライティングに活かせるものがあります。ただし、研究報告書や技術資料を書いてきたからといって、そのままWeb記事を書けるわけではありません。
メーカー研究員の経験を活かせる副業は?研究・技術職のスキルから考えるでは、研究職の経験から考えられる副業を5つ紹介しました。
この記事では、その中の「専門・技術系Webライター」について、研究職の何が活かせるのか、反対に何を新しく身につける必要があるのかを整理します。
研究員のどんな経験がWebライティングに活かせる?
研究員の仕事とWebライターの仕事は、一見するとかなり違います。
一方で、日々の業務を細かく見ていくと、共通する部分もあります。
専門的な内容を理解する
研究職では、自分の専門分野について論文や技術資料、仕様書などを読む機会があります。
化学や材料、製造、研究開発などの記事を書く場合、こうした前提知識があれば、用語の意味を一から調べなくても内容を理解できることがあります。
特に専門分野の記事では、「専門用語を知っていること」以上に、その情報が何を意味しているのか理解できることが強みになります。
もちろん、知識があるだけで読みやすい記事を書けるわけではありません。専門知識はあくまで土台の一つです。
必要な情報を探して、確かめる
研究では、分からないことがあれば文献や技術資料を探します。
検索キーワードを変えながら必要な情報を探したり、複数の資料を読み比べたり、元になった論文までさかのぼったりすることもあるでしょう。
Web記事を書くときにも、こうした「調べる力」は使えます。
検索結果に出てきた記事をそのまま参考にするのではなく、必要に応じて公的資料や論文などの元情報を確認する。研究で身につけた調査の習慣を活かせる部分です。
ただし、勤務先が契約している有料データベースや社内資料を、副業のために利用するのは別の話です。本業と副業で使える情報は分けて考える必要があります。
情報を整理して文章にする
研究員は実験だけでなく、その結果を文章にする仕事もしています。
研究報告書や技術報告書を書くときには、
- 何が分かったのか
- その根拠は何か
- どのデータを示すのか
- どの順番で説明するのか
を考えます。
この「情報を整理して文章にする」という部分は、Webライティングにもつながります。
ただし、ここには大きな違いもあります。
研究報告書とWeb記事は、書き方が違う
研究員がWebライターを始めるときに、最初に意識したいのがこの違いです。
| 観点 | 研究報告書 | Web記事 |
| 主な読者 | 社内・専門家 | 一般読者や特定の検索ユーザー |
| 主な目的 | 結果や根拠を共有する | 読者の疑問に答える |
| 文章 | 正確さ・詳細さを重視 | 分かりやすさ・簡潔さも重視 |
| 構成 | 報告の流れに沿う | 読者が知りたい順に組み立てる |
| 専門用語 | そのまま使える場合が多い | 読者に合わせて説明する |
研究報告書では、前提となる知識を読み手と共有していることも多いでしょう。
Web記事では、そうとは限りません。
たとえば材料開発について書く場合でも、読み手が研究者なのか、メーカーの購買担当者なのか、一般消費者なのかによって説明の仕方は変わります。
研究員として詳しく知っているからこそ、説明を細かくしすぎることもあります。正確に伝えようとして、結論までが長くなることもあるでしょう。
これは文章力がないからではなく、研究報告書とWeb記事では、読み手と目的が違うからです。
研究職の文章経験を活かしながら、Web向けの書き方に変えていく必要があります。
専門・技術系Webライターとは?
Webライターの中には、自分の専門知識を活かして記事を書く仕事もあります。
たとえば、メーカーや製造業、化学・材料、研究開発、科学分野、BtoB向けの技術解説などです。
こうした仕事では、「専門知識」「調べる力」「文章にする力」を組み合わせられます。
ただし、「技術系Webライター」という名称で仕事が統一されているわけではありません。専門ライター、技術ライター、BtoBライター、記事執筆など、募集時の名称はさまざまです。
そのため、実際に仕事を探すときには「技術系Webライター」という言葉だけで探すのではなく、自分の専門分野や書けるテーマから探す視点も必要になります。
研究員の経験だけでは足りない部分もある
ここまで見ると、研究職とWebライティングには共通点があります。
一方で、Webライターとして仕事をするなら、新しく覚えることもあります。
たとえば、
- 読者が知りたいことから構成を考える
- 結論を分かりやすく伝える
- 専門用語を必要に応じて言い換える
- 一文や一段落を長くしすぎない
- 見出しを使って情報を整理する
- 不要な説明を削る
といったWeb向けの書き方です。
案件によっては、検索意図やSEOについての理解を求められることもあります。
「研究職の経験があるから、そのままWebライターになれる」というより、研究職の経験を土台に、Web向けの書き方を身につけていくと考えた方が実態に近いでしょう。
専門分野だけを書く必要はない
「せっかく研究員なのだから、専門分野の記事を書かなければ」と考える必要もありません。
自分の専門分野に合う仕事が見つかれば、これまでの知識を活かしやすくなります。一方で、Web記事を書く経験を積むために、専門外のテーマを扱う方法もあります。
どちらを選ぶかは、何を目的にWebライターをするのかによって変わります。
専門性を活かすことを優先するのか、まずWeb向けの文章に慣れることを優先するのか。ここも分けて考えると選びやすくなります。
本業の研究内容を記事にするわけではない
研究員が専門性を活かして副業をするときには、本業との線引きも欠かせません。
未公開の研究内容や実験データ、顧客情報、社内資料、研究ノウハウなどを記事に使うことはできません。
「専門知識を活かす」というのは、勤務先の情報を外に出すという意味ではありません。
公開されている情報や一般的な知識、自分自身が身につけてきた能力と、勤務先が管理する情報は分けて扱う必要があります。勤務先の副業規定や秘密保持についても、始める前に確認しておきたいところです。
子育て中の副業としてはどうか
Webライティングには、自宅で取り組める仕事や、PCを使って進められる仕事があります。仕事内容によっては、作業をいくつかに分けて進めることもできます。
一方で、「好きな時間に少し書けば終わる仕事」とも限りません。
記事を書く前の調査、構成作成、執筆、修正、クライアントとの連絡まで含めると、想像していたより時間がかかる場合もあります。もちろん納期もあります。
そのため、子育て中だからWebライターが向いている、と一括りにはできません。
自分が確保できる時間と、案件に必要な時間が合うか。副業の時間を作ることで、配偶者の育児や家事の負担が増えないか。仕事内容と一緒に確認しておきたい点です。
専門知識があれば高単価になるとは限らない
専門・技術系の記事では、知識や実務経験が評価される案件もあります。ただし、研究員だから最初から高単価で仕事を受けられるとは限りません。
Web記事として読みやすく書く力や、依頼に沿って構成・執筆する経験も必要です。最初から収入だけを見るより、「自分の専門性を活かせる案件があるか」「Web向けの文章を書き続けられそうか」を確認する方が現実的でしょう。
研究員だから向いている、とは言い切れない
ここまでを整理すると、研究員にはWebライティングに活かせる経験があります。
特に、
- 専門的な内容を理解する
- 必要な情報を調べる
- 根拠を確認する
- 情報を整理する
- 文章にまとめる
- 相手に合わせて説明する
といった経験です。
一方で、文章を書くこと自体が大きな負担になる人や、調査や修正に時間を使いたくない人もいるでしょう。
研究員という職種だけで、Webライターへの向き・不向きは決まりません。
「研究職だから向いているか」ではなく、「研究職で身につけたどの経験を活かせそうか」と考える方が、自分との相性を判断しやすくなります。
まとめ
メーカー研究員の経験には、専門・技術系Webライティングに活かせる部分があります。
ただし、研究報告書とWeb記事では、読者も目的も書き方も違います。研究職で培った専門知識や調査力、文章作成の経験を土台にしながら、Web向けの書き方を新しく身につけていく必要があります。
では、実際の「技術系Webライター」は、どのような仕事なのでしょうか。
次の記事では、仕事内容や一般的なWebライターとの違いをもう少し具体的に整理します。
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