研究職として働いていると、副業を始めようと思っても、何ができるのか迷うことがあります。
研究開発の仕事は専門性が高く、会社の設備や研究テーマに依存する部分も少なくありません。普段の仕事をそのまま社外で引き受けるのは難しいでしょう。
私もメーカーで研究職を経験してきましたが、研究員の仕事を振り返ると、実験以外にもさまざまな業務があります。
論文を調べる。実験データをExcelで整理する。結果を分析する。報告書を書く。PowerPointで説明資料を作る。
こうした仕事は、研究職以外でも行われています。
副業を考えるときは、研究テーマそのものよりも、研究の過程で身につけたスキルを社外でどう使えるかという視点が役立ちます。
この記事では、メーカー研究員の経験を活かしやすい副業を5つ取り上げ、必要なスキルや始め方、注意点を整理します。
研究職におすすめの副業5選
研究職の経験を活かせる副業として、次の5つが考えられます。
| 副業 | 活かせる経験 | 始めやすさの目安 |
|---|---|---|
| 専門・技術系Webライター | 専門知識、文献調査、文章作成 | 比較的始めやすい |
| 文献調査・技術リサーチ | 論文検索、情報整理、比較 | 案件次第 |
| Excel・データ分析 | データ整理、集計、グラフ作成 | スキルによる |
| 技術資料・PowerPoint作成 | 報告書、発表資料、図表作成 | 比較的始めやすい |
| 専門知識のスキル販売 | 化学・材料・製造などの知識 | 顧客獲得が課題 |
※始めやすさは、研究職で一般的に経験する業務との重なりをもとにした目安です。案件の獲得しやすさや収益性を保証するものではありません。
この中で、初めて副業に取り組む研究員なら、私は専門・技術系Webライターか、資料作成から検討します。
研究設備を必要とせず、自宅のパソコンで作業できるためです。文献調査も候補ですが、専門分野によって案件の見つけやすさが変わります。
一方、データ分析や専門コンサルティングは、研究職という肩書だけで引き受けられる仕事ではありません。依頼内容に対応できる実務スキルが必要です。
専門・技術系Webライター
研究員が取り組みやすい副業の一つが、技術系Webライターです。
化学、材料、製造、環境、エネルギーなど、専門知識が必要な記事の執筆や、技術的な内容の解説が仕事になります。
研究職の強みは、専門用語を知っていることだけではありません。
情報の出典を確認し、複数の資料を比較し、根拠に基づいて文章を組み立てる。研究報告書や論文を扱ってきた経験が役立つ場面があります。
ただし、研究報告書とWeb記事では書き方が違います。
研究報告書では正確さや詳細さが求められますが、Web記事では、専門知識のない読者にも理解できる説明が必要です。
どんな仕事がある?
例えば、次のような仕事が候補になります。
- 化学・材料・製造技術に関する記事
- 技術系企業のオウンドメディア記事
- 製品の仕組みや技術の解説
- 専門記事のファクトチェックや編集補助
どうやって始める?
まず、自分が詳しい分野で記事を2〜3本書き、執筆サンプルを作ります。
そのうえで、クラウドソーシングや企業のライター募集を探す方法があります。
最初から専門記事の高単価案件を獲得できるとは限りません。Web向けの文章作成に慣れる必要もあります。
研究職の経験をWebライターとして活かす方法は、メーカー研究員はWebライターに向いている?専門知識を活かす副業という選択で詳しく書いています。
文献調査・技術リサーチ
研究員は日常的に論文や技術情報を調べています。
必要な情報を探すために検索条件を工夫し、複数の資料を読み比べ、調査結果を整理する。
こうした経験は、文献調査や技術リサーチの仕事と重なる部分があります。
どんな仕事がある?
- 技術情報の収集と整理
- 特定分野の文献リスト作成
- 市場・競合技術の調査補助
- 記事やレポートのための情報収集
専門的な調査では、情報を集めるだけでなく、調査対象や出典を明確にして納品することが求められます。
どうやって始める?
例えば、「特定技術について公開資料を調べ、出典付きで比較表にまとめる」といった作業をサンプルとして作成できます。
案件を探す際は、「技術リサーチ」「文献調査」「市場調査」「情報収集」など、研究職という言葉以外でも検索してみます。
ただし、勤務先の契約する有料データベースや社内資料を副業に利用してはいけません。
公開情報だけで対応できる範囲を明確にしておく必要があります。
詳しくは文献調査・技術リサーチは副業にできる?研究員の経験を活かす方法で紹介しています。
Excel・データ分析
研究職では、実験結果をExcelで整理したり、グラフを作成したりすることがあります。
こうした経験は、データ整理や集計の副業に応用できる場合があります。
どんな仕事がある?
- Excelデータの整理・集計
- グラフや表の作成
- データの形式統一
- 簡単な分析レポートの作成
注意したいのは、研究データを扱った経験と、社外のデータ分析案件を受注できるスキルは必ずしも同じではないということです。
統計解析やPython、SQLなどが必要な案件もあります。
普段Excelで集計をしている人なら、まずはその経験で対応できる作業を探す方が現実的です。
どうやって始める?
公開データや架空のデータを使って、集計表やグラフを作成し、作業サンプルを用意します。
その後、募集されている案件の内容と自分のスキルを照らし合わせます。
データ分析の仕事については、研究員のデータ分析経験は副業に活かせる?Excel・統計から考えるでも整理しています。
技術資料・PowerPoint作成
研究員の仕事には、研究成果を資料にまとめて説明する業務があります。
実験結果をグラフにする。比較表を作る。複雑な内容を数枚のスライドに整理する。
こうした経験は、資料作成の副業でも役立ちます。
どんな仕事がある?
- PowerPoint資料の作成
- 既存資料の整理・見やすさの改善
- 調査結果のレポート化
- 技術説明用の図表作成
専門的な内容を理解して資料にできることは、研究職の経験を活かせる部分です。
ただし、研究発表資料を作る能力と、営業資料や企業向けプレゼン資料を作る能力には違いがあります。
どうやって始める?
架空のテーマや公開情報を使い、5〜10枚程度の資料サンプルを作ります。
そのうえで、資料作成やスライド修正の案件を探す方法があります。
勤務先の資料を流用せず、完全に自分で作成したサンプルを使うことが前提です。
専門知識を活かしたスキル販売・相談
化学や材料、製造などの専門知識を活かし、技術的な相談や情報整理をサービスとして提供する方法もあります。
例えば、公開情報に基づく技術解説や、一般的な技術知識の説明などが考えられます。
ただし、この副業は慎重に検討したいところです。
研究員が持つ知識には、一般に公開されているものと、勤務先の業務を通じて知った非公開情報が混在している場合があります。
自分の専門分野だからといって、自由に外部へ提供できるとは限りません。
また、勤務先と競合する業務や、資格・許認可が必要な業務を引き受けないよう注意が必要です。
専門知識を直接販売するより、まずは公開情報を使った記事執筆や資料作成から始める方が、提供する業務の範囲を明確にしやすいと思います。
研究職の副業はどこで探す?
副業の候補が決まったら、実際にどのような案件が募集されているかを確認します。
例えば、次のようなサービスが候補になります。
| サービス | 探しやすい仕事の例 |
|---|---|
| クラウドワークス | 記事執筆、データ整理、資料作成、リサーチ |
| ランサーズ | 技術ライティング、調査、資料作成 |
| ココナラ | スキル販売、資料作成、技術解説 |
募集状況や報酬は変わるため、実際の案件内容を確認する必要があります。
検索するときは、「研究職 副業」だけに絞らない方がよいでしょう。
「技術ライター」「化学 ライティング」「Excel 集計」「文献調査」「PowerPoint 資料作成」など、作業内容で探すと候補が広がります。
応募前には、納品物、作業量、納期、修正回数、報酬条件を確認します。
特に初めての副業では、仕事内容が曖昧な案件を安易に引き受けない方が安全です。
研究職が副業を始める前に確認したいこと
研究職の副業では、一般的な会社員の副業以上に注意したい点があります。
それが、勤務先の情報と副業の線引きです。
研究開発の仕事では、未公開の技術情報、実験データ、顧客情報、特許出願前の内容などを扱うことがあります。
副業に利用する情報は、公開情報と自分が正当に利用できる知識・スキルに限定する必要があります。
また、勤務先の副業規定、競業避止義務、秘密保持義務なども確認します。
会社のパソコン、ソフトウェア、データベースを私的な副業に使わないことも基本です。
副業を始める前には、厚生労働省の副業・兼業に関する情報も参考になります。
子育て中の研究員なら、作業時間も考える
研究職の経験を活かせる副業でも、子育て中に続けられるとは限りません。
例えば、平日夜の打ち合わせが多い仕事や、短納期の案件は、子どもの世話と両立しにくい場合があります。
一方、記事執筆や資料作成のように、自分で作業時間を調整しやすい仕事なら、取り組みやすいこともあります。
私なら、最初から複数の案件を引き受けるより、作業量が明確な小さな案件を一つ試してみます。
実際に作業してみないと、どれくらい時間がかかるか分からないからです。
副業で得られる収入だけでなく、そのために使う時間も確認したいところです。
子育て中の副業については、子育て中の会社員が副業を始める前に考えたい5つのことでも詳しく整理しています。
まとめ|研究職の経験を、そのまま売ろうとしなくていい
研究職の副業を考えるとき、専門知識を直接使える仕事だけを探す必要はありません。
研究員の仕事には、情報を調べる、データを整理する、文章を書く、資料を作るといった、社外でも使えるスキルがあります。
私なら、初めて副業に取り組む場合は、専門・技術系Webライターか資料作成を候補にします。
どちらも自宅のパソコンで作業でき、研究職で培った経験を使える部分があるからです。
ただし、実際に案件を獲得するには、サンプルを作り、応募し、依頼者が求める成果物を納品する必要があります。
研究職としての経験が、そのまま副業収入になるわけではありません。
まずは、自分が普段行っている作業を一つ選び、社外向けの成果物として形にしてみる。
そこから始めるのが現実的だと思います。
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