子どもが生まれてから、「今の働き方をこのまま続けられるだろうか」「もっと家族との時間を取りたい」「そろそろ転職を考えてもいいのではないか」と思うことがあるかもしれません。
その一方で、「家族がいるのに転職するのは無謀ではないか」「年収が下がったらどうしよう」「今より条件の悪い会社に当たったらどうしよう」という不安も、同じくらい大きいのではないでしょうか。独身の頃であれば、多少うまくいかなくても自分一人でやり直せると思えたかもしれませんが、家族がいると、その判断の重みが変わってきます。
この記事では、そうした不安を否定するのではなく、転職を考える前に整理しておきたい5つのポイントを紹介していきます。
子育て中の転職は本当に「無謀」なのか
まず前提として、「子どもがいるから転職してはいけない」と一律に言えるものではありません。子育て中であっても、今の働き方を見直すために転職を選択肢として考えることはできます。
ただ、独身時代の転職と違うのは、収入、勤務地、勤務時間、保育園や送迎、配偶者の働き方など、家族全体への影響を考える必要がある、という点です。自分一人の判断では完結しない要素が増える分、転職を考える際に見ておきたい視点も増えます。転職先の環境が合わなかったとき、独身であれば自分だけで対処できたことも、家族がいると影響が広がってしまうことがあります。
「転職=無謀」でも「転職=正解」でもなく、家族の状況を踏まえたうえで、慎重に検討する対象だと捉えておくとよいでしょう。「無謀かどうか」という二択で考えるより、「どう準備すればリスクを小さくできるか」という視点で考えるほうが、実際の判断には役立ちます。
転職前に考えたいこと1|今の仕事の「何を変えたいのか」
「今の会社を辞めたい」という気持ちだけでは、転職先を選ぶ基準にはなりにくいものです。「辞めたい」という感情は理解できますが、それだけで転職活動を始めてしまうと、次の会社を選ぶ際の軸が定まらず、結果的に同じような不満を抱える職場を選んでしまう可能性もあります。
残業を減らしたいのか、通勤時間を短くしたいのか、在宅勤務を増やしたいのか、休日をしっかり確保したいのか、仕事内容を変えたいのか、年収を上げたい、あるいは維持したいのか、転勤を避けたいのか。
漠然とした不満を、「転職先に求める具体的な条件」に変換しておくことで、求人を見るときの判断がしやすくなります。たとえば「今の会社が嫌だ」というだけでは、次の会社も同じような理由で嫌になってしまう可能性があります。一方で「残業が月20時間を超える職場は避けたい」「保育園の送迎に間に合う勤務時間にしたい」というように具体化できていれば、求人票を見比べる際の判断材料になります。
転職前に考えたいこと2|年収だけで判断しない
子育て中の家庭にとって、年収は軽視できない要素です。「年収は気にしなくていい」という話ではありません。
そのうえで、残業時間、通勤時間、住宅手当や家族手当、退職金制度、有給休暇の取りやすさ、フレックスタイムや在宅勤務の有無、転勤の可能性といった要素もあわせて見ておく必要があります。「年収が少し下がっても必ず幸せになれる」というものでも、「家庭を優先するなら年収を下げるべきだ」というものでもなく、年収を含めた複数の条件を総合的に見て判断する、という考え方です。
また、額面の年収だけでなく、その年収を得るためにどれくらいの時間や負荷がかかっているのかも、あわせて考えておきたい点です。同じ年収であっても、残業の多さや通勤の負担によって、実質的な生活のゆとりは変わってきます。
年収以外にどんな条件を見ればいいのかについては、以下の記事でも詳しく整理しています。
【内部リンク候補:妻の収入が高い家庭で夫が転職するとき、年収より重視したい5つの条件】
転職前に考えたいこと3|配偶者のキャリアも含めて考える
転職は、夫だけの問題として考えるものではありません。妻や配偶者にも、それぞれの仕事やキャリアがあります。
送迎の分担、急な呼び出しへの対応、残業や出張、転勤の可能性、家事育児の分担など、家庭全体を見渡しながら考える必要があります。「妻の収入が高いから、夫は年収が下がっても問題ない」と単純に結論づけられるものではありません。また、配偶者の現在の収入や働き方が、この先もずっと同じ状態で続くとは限らない、という点も念頭に置いておきたいところです。
転職を考えるタイミングで、一度配偶者と話し合い、お互いの仕事や希望する働き方について、今どう感じているのかを共有しておくことも助けになります。自分だけで結論を出してから相談するより、検討の初期段階から意見を聞いておくほうが、後々のすれ違いを防ぎやすくなります。
転職前に考えたいこと4|求人票だけでは分からない働き方を確認する
求人票に書かれている制度は、実際に使われているかどうかまでは分かりません。在宅勤務制度があっても利用頻度が限られている場合や、フレックス制度があっても部署によって使われ方が違う場合、育休の取得実績があっても職場によって実際の状況が異なる場合があります。
求人票、企業サイト、面接、転職エージェント、口コミなど、複数の情報源を組み合わせて確認していくことが大切です。口コミについては、あくまで一つの参考情報として扱い、事実そのものと断定しないほうが安全です。投稿された時期や部署によって、状況が異なる可能性もあります。
面接や面談の場では、「実際にお子さんがいる社員の方はどのような働き方をされていますか」といったように、具体的な質問をしてみることで、制度の名前だけでは分からない実態に近づけることがあります。
なお、在宅勤務ができるとしても、その時間は基本的に勤務時間です。「在宅勤務ならば仕事をしながら育児もできる」というわけではない点は、あらためて確認しておきたいところです。
求人を見るときに確認したいポイントは、こちらの記事で詳しくまとめています。
【内部リンク候補:子育てを優先できる会社に転職したいパパへ|求人で見るべきポイント】
転職前に考えたいこと5|「転職しない」という選択肢も残しておく
転職活動を始めることと、実際に転職することは別の話です。求人を見てみる、自分の市場価値を知る、他社の条件を知る、今の会社の条件と比較してみる。そうした過程を経て、「今の会社に残る」という結論に至っても、それはそれで一つの判断です。
転職活動そのものを、今の働き方を客観的に見直すための材料として位置づけておくと、結果がどちらに転んでも納得感を持ちやすくなります。他社の求人を見ることで、今の会社では当たり前だと思っていた条件を、別の視点から見直すきっかけになることもあります。
子育て中の転職では「何を得たいか」を明確にする
ここまで見てきた5つのポイントを整理すると、共通するのは「転職は目的ではなく手段」だということです。
「転職すればすべて解決する」わけでも、「子どもがいるから転職しないほうが安全」というわけでもありません。まずは、今の働き方で困っていることと、これから実現したい生活やキャリアを、自分の中で整理することが先になります。
この整理は、一度紙に書き出してみると進めやすくなります。今の仕事に対する不満、変えたいこと、譲れない条件、逆に妥協できる条件を、頭の中だけで考えるのではなく言葉にしてみることで、自分でも気づいていなかった優先順位が見えてくることがあります。
転職だけでなく、今の会社に残ることも含めて働き方そのものを考えたい場合は、こちらも参考になります。
【内部リンク候補:家庭を優先しながらキャリアを築く方法|育休後のパパが考えたい働き方】
まとめ|子育て中だからこそ、転職する・しないを丁寧に考える
子育て中の転職には、独身時代とは違う難しさがあります。だからといって、転職という選択肢自体を最初から除外してしまう必要もありません。
今すぐ転職を決断する必要はなく、まずは自分が何を変えたいのかを整理するところから始めても十分です。焦って結論を出すより、一つひとつの条件を確認しながら考えていくほうが、後になって「あのとき、もう少し考えておけばよかった」と感じる可能性を減らせます。
次回は、子育て中の転職でよく気になる「年収が下がること」について、家庭全体の視点からもう少し詳しく考えていきます。
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