文献調査・技術リサーチは副業にできる?研究員の経験を活かす方法

仕事・キャリア

研究員の仕事には、実験以外にもかなりの時間を使う作業があります。

「調べること」です。

研究テーマに関する論文を探す。新しい技術について調べる。複数の資料を読み比べる。必要な情報を抜き出して、表や資料にまとめる。

研究職では普段の仕事としてやっていることですが、この「調べる」という経験を副業に使うことはできるのでしょうか。

技術系Webライターの始め方|研究職の会社員が最初にやることでは、文章を書くより、情報を探したり整理したりする作業のほうが自分には合っていると感じる人もいる、と書きました。

今回は、研究員の「調べる仕事」に焦点を当てて、実際にどんな仕事につながるのかを見ていきます。

文献調査・技術リサーチの仕事は実際にある

まず気になるのは、「そもそも、そんな仕事があるのか」という点だと思います。

実際に調べてみると、文献や技術情報を調べて整理するサービスは存在します。

たとえばスキルマーケットでは、化学製品や材料、試験・研究方法などについて相談や調査を請け負うサービスがあり、販売実績も確認できます。高分子材料を専門とする出品者のサービスでは、調査だけでなく研究方法や試験方法に関する相談なども扱っています。

学術論文に絞ったサービスもあります。

生命科学分野の論文検索サービスでは、論文の検索や文献調査だけでなく、調査結果の整理、論文の要約、スライド作成などまで提供しています。こちらも実際の利用者による評価が多数確認できます。

さらに技術寄りになると、研究開発に必要な論文や特許、技術資料を調査し、主要な文献のリストや技術的なポイントを整理して納品するサービスもあります。

つまり、「調べて、整理して、相手に渡す」という仕事そのものは実在します。

ただし、ここは少し冷静に見ておいたほうがよさそうです。

「文献調査」という名前の案件が常に大量に募集されているわけではありません。販売実績のあるサービスがある一方で、技術調査サービスの中にはまだ販売実績がないものもあります。

研究員なら簡単に仕事が見つかる、という話ではありません。

「文献調査」だけで探さない

実際の仕事を見ると、研究員が普段行っている調査は、いくつかの形に分かれています。

たとえば、

  • 論文・文献を探す
  • 技術情報を調べる
  • 競合や他社製品を調べる
  • 特許情報を検索する
  • 調査結果を比較表にする
  • 論文を要約する
  • 調査結果を資料にまとめる

といった仕事です。

実際に、技術調査・他社製品調査・特許調査をまとめて提供しているサービスもあります。

そのため、副業を探すときに「文献調査」という言葉だけに絞ると、候補を狭めてしまいます。

「技術調査」「リサーチ」「情報収集」「競合調査」「論文検索」「資料作成」など、研究員が普段やっている作業そのものから探すほうが見つけやすくなります。

研究員は普段、何をして「調べている」のか

文献調査と聞くと、論文検索サイトにキーワードを入れる作業を想像するかもしれません。

実際の研究では、その前後にも作業があります。

最初の検索で欲しい情報が見つからなければ、キーワードを変える。別の表現に置き換える。見つけた論文から関連文献をたどる。必要なら公的機関や企業の資料も確認する。

集めた情報を読み比べ、必要な部分を抜き出して、研究に使える形に整理します。

大きく分けると、

探す→読む→比較する→必要な情報を抜き出す→整理する

という流れです。

副業につながるのは、単に検索ができることより、この一連の作業を経験している点です。

文献・論文を調べる仕事

研究員の仕事に比較的近いのが、特定のテーマについて論文を探し、必要な情報を整理する仕事です。

実際のサービスを見ると、特定の情報が書かれた論文を探す、先行研究を調べる、内容をまとめる、要約や翻訳を行う、といった依頼に対応しています。

別のサービスでは、医学・看護・薬学分野を対象に論文を調査し、文献リストをExcelで納品する形も確認できます。

ここから分かるのは、依頼者が欲しいのは「検索した」という事実ではないことです。

必要な文献を見つけ、その結果を使える形にするところまでが仕事になります。

もちろん、自分の専門外の分野まで何でも扱えるわけではありません。特に医療など、情報の扱いに高い専門性が求められるテーマでは、自分が対応できる範囲を見極める必要があります。

化学・材料の経験をそのまま使う方向もある

メーカー研究員なら、もう少し専門分野に寄せる方法もあります。

実際に、化学製品や材料について調査・相談を受けるサービスがあります。

高分子材料を専門とする出品者の例では、材料の扱い方、研究・試験方法、調査などを扱っており、販売実績37件、評価34件が確認できます。

これは、「Webライターとして記事を書く」とはかなり違います。

自分が持っている専門知識と、必要な情報を調べる力を組み合わせて提供する形です。

ただし、この例が売れているからといって、研究員なら同じように受注できるわけではありません。

分野、経験、依頼内容、サービスの見せ方などによって状況は変わります。

それでも、研究職の専門性と調査経験を組み合わせて販売している実例があることは、副業を考えるうえで参考になります。

技術調査では「論文+特許+技術資料」という形もある

研究開発に近い調査では、論文だけを扱うとは限りません。

実際に出品されている技術調査サービスを見ると、論文・特許・技術資料などを調べ、既存技術や技術的な違いを整理する形があります。

納品物も、単なるURL一覧ではありません。

主要な論文・特許のリスト、簡単な要約、技術的なポイントや方式の分類などをまとめて納品する形になっています。

これは、研究員の仕事にかなり近い部分があります。

新しいテーマを始めるときに関連論文を探し、既存技術を調べ、各方式の違いを整理する。その経験を、依頼者が必要とする形に変換しているわけです。

特許調査は「どこまでやるか」に注意する

メーカーの研究開発では、特許情報を調べることもあります。

実際に、特許検索を行い、検索結果をExcel形式で提供するサービスも販売されています。

一方で、特許については注意したい点があります。

公開されている特許情報を検索して整理することと、特許性や侵害などについて法的な判断をすることは同じではありません。

実際の技術調査サービスでも、公開情報を使った技術的な整理までとし、法的な侵害判断や鑑定は行わないと明記している例があります。

研究員として特許を検索した経験があっても、「どこまでを自分のサービスとして扱うのか」は分けて考える必要があります。

研究の文献調査と副業リサーチは少し違う

研究職で調査に慣れている人ほど、意外と難しいのが「調べるのをやめること」かもしれません。

研究では、気になる論文を見つけて参考文献をさらにたどることがあります。調べている途中で別の疑問が出て、そこからさらに深掘りすることもあります。

副業では、必ずしもそこまで求められていません。

たとえば「指定した条件に合う企業を20社調べて一覧にする」という依頼なら、求められているのはその条件に沿った結果です。

興味が出たからといって周辺技術まで何時間も調べても、その時間が報酬に反映されるとは限りません。

詳しく調べられることと、必要なところで調査を終えられることは別です。

研究と副業では、ここが少し違います。

「調べる」だけでなく「どう渡すか」まで考える

実例を見ても共通しているのが、調査結果を何らかの形にして納品していることです。

論文検索サービスでは、文献調査だけでなく要約やスライド作成まで扱う例があります。

技術調査では、論文や特許のリストに加えて、技術的なポイントを整理したレポートを納品する例があります。

つまり、

情報を見つける

だけではなく、

情報を見つける→選ぶ→整理する→相手が使える形にする

までが仕事になります。

研究員として調べた情報をExcelにまとめたり、研究報告書やPowerPointに整理したりしてきた経験があるなら、ここにも本業との接点があります。

自分なら何を「調べて渡せるか」を考える

副業として考えるなら、

「研究員です」
「化学に詳しいです」

だけでは、何ができるのか伝わりません。

たとえば、

公開されている論文や公的資料から、特定の材料について調査し、出典を付けた比較表に整理する

まで具体化すると、仕事としての形が見えてきます。

考えるポイントは4つです。

  • どんな分野なら調べられるか
  • どんな情報源を扱えるか
  • どんな調査ができるか
  • 最後にどんな形で渡せるか

専門知識そのものを売るというより、「専門知識を使って何ができるのか」を考えるということです。

本業の情報や環境とは分ける

研究経験を副業に使う場合でも、勤務先の情報や環境をそのまま利用するわけではありません。

未公開の研究内容、実験データ、顧客情報、社内資料などは副業と切り分けます。

会社が契約している論文データベースや業務用サービスについても、副業で自由に使えるとは限りません。

公開情報と自分自身の経験を使うことを基本にし、勤務先の副業規定も確認しておきます。

文献調査・技術リサーチは「誰でも稼げる副業」ではない

今回、実際のサービスまで調べてみると、文献調査や技術リサーチにお金を払う市場があることは確認できました。

一方で、Webライティングのように「大量の募集から好きな案件を選べる」と考えるのは違いそうです。

専門分野によって依頼の数も違いますし、自分の経験と合う仕事がいつも見つかるとも限りません。

だからこそ、「文献調査」という職種だけを探すのではなく、

専門知識 × 調べる × 整理する

という自分の経験の組み合わせから、提供できる仕事を考えるほうが現実的です。

研究員の仕事を細かく分けていくと、「書く」「調べる」以外にもう一つ大きな仕事があります。

「データを扱うこと」です。

実験データをExcelで整理する。グラフにする。統計的に比較する。

こうした経験は、副業ではどこまで使えるのでしょうか。

次の記事では、研究員の「分析する」という仕事に焦点を移します。

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