研究員のデータ分析経験は副業に活かせる?Excel・統計から考える

仕事・キャリア

研究員の仕事では、実験そのものと同じくらい、その後のデータ処理に時間を使うことがあります。

測定値をExcelにまとめる。条件ごとに並べる。平均値やばらつきを確認する。グラフを作る。必要なら統計解析を行い、結果を報告資料にまとめる。

こうした作業を普段からしていても、「自分にはデータ分析のスキルがある」と考えたことはない人もいるかもしれません。

文献調査・技術リサーチは副業にできる?研究員の経験を活かす方法では、研究員が日常的に行っている「調べる」という仕事を取り上げました。

今回はもう一つの仕事である「データを扱う」に焦点を当てます。

いきなりPythonやAIの話には進みません。

まず確認したいのは、今の仕事でやっているExcel・データ整理・統計の経験が、会社の外ではどんな仕事になるのかです。

Excelや統計を使った仕事は実際にある

結論から言えば、Excelによるデータ整理や分析、統計解析を有料で請け負う仕事は実際にあります。

たとえばココナラには、Excelを使ったデータ集計・分析・グラフ作成などを請け負うサービスがあり、現在585件の販売実績があります。

内容を見ると、アンケート集計、データ分析、資料作成、グラフ作成などが含まれています。

もう少し研究職に近い例もあります。

「アンケートや実験結果をExcelで統計的に分析する」というサービスには7件の販売実績があり、分析結果とあわせて報告書を納品した実例も確認できます。

もちろん、この数字だけで「データ分析副業の需要は大きい」とまでは言えません。

ただ、データを整理し、分析し、その結果を相手に渡すことに対して実際にお金が支払われていることは確認できます。

研究員が考えるべきなのは、「データアナリストになれるか」ではなく、自分がすでにやっている作業のどこまでが外でも使えるか、ということです。

「データ分析」を大きく考えすぎなくていい

データ分析と聞くと、Pythonで大量のデータを処理したり、AIや機械学習を使ったりする仕事を想像しがちです。

しかし、研究現場でデータを扱う流れを分解すると、もっと手前から始まっています。

たとえば、

測定する→データを整理する→必要な値を集計する→グラフにする→条件間を比較する→必要なら統計解析する→結果を説明する

という流れです。

この中でPythonを使う場面が一つもない研究員もいるでしょう。

それでも、Excelで数百行のデータを整理したり、関数を使って集計したり、グラフを作って条件間の違いを確認したりしているなら、それも「データを扱う仕事」の一部です。

副業を考えるときも、まずはこの作業を細かく分けたほうが、自分にできることが見えてきます。

研究でやっている仕事を外の仕事に置き換える

研究データと、企業の売上データやアンケートデータは同じものではありません。

それでも、途中の作業には共通する部分があります。

研究で行っていること外の仕事に置き換えると
測定データを整理するデータ整理・整形
条件ごとに数値を集計する売上・アンケート等の集計
グラフを作るデータの可視化
条件間を比較するデータ比較・傾向整理
統計解析を行うアンケート・実験データ等の解析
結果を研究報告にまとめる分析結果のレポート・資料作成

ここで重要なのは、「研究員だからデータ分析が得意」と考えることではありません。

たとえば普段の仕事が、

「決められたExcelシートに測定値を入力してグラフを作る」

までなのか、

「自分でデータのまとめ方を考え、統計手法を選び、結果を解釈する」

ところまでなのかで、できる仕事はかなり違います。

肩書ではなく、実際に自分がどこまで担当しているかで考える必要があります。

実は「分析する前」の作業にも仕事がある

研究データを扱っていると、すぐに分析へ進めないことがあります。

測定条件の表記が揃っていない。不要な行が入っている。複数のファイルにデータが分かれている。欠測値がある。

まずこれらを整えてから、集計や分析へ進みます。

外のデータでも同じです。

データを分析できる形に整理する、複数の表をまとめる、表記をそろえる、必要な項目を抜き出す、といった作業があります。

実際、Excel関連サービスでは集計や分析だけでなく、フォーマット作成、データ加工、資料作成なども提供されています。

この点は、研究員が副業を考えるうえで意外に重要です。

「高度な分析ができないから無理」と考える前に、

自分はデータをどこまで整えられるのか

を見たほうがいいからです。

統計を使えるなら「操作できる」だけで終わらない

研究で統計を使っている人なら、もう一段違う仕事も考えられます。

実際に販売されているExcel分析サービスには、

  • 平均値・標準偏差
  • クロス集計
  • 散布図
  • 回帰分析
  • t検定
  • χ²検定
  • 分散分析

などを扱っているものがあります。

ここで必要なのは、Excelの分析ツールでボタンを押せることだけではありません。

たとえば依頼者から、

「AとBに差があるか知りたい」

とデータを渡されたとします。

その場合、データの種類や実験・調査の設計を確認して、何を比較すればよいのかを考えなければなりません。

出てきた数値を相手が理解できるように説明することも必要です。

研究で統計を使ってきた人は、

「検定を使ったことがあるか」

だけではなく、

分析方法を自分で選んだ経験があるか結果を自分の言葉で説明してきたか

まで振り返ってみると、自分ができる範囲が分かります。

研究員の強みになり得るのは「分析+説明」

外部の仕事として考えると、結果を出したところで終わらない場合があります。

依頼者が欲しいのは、

「p値は0.03でした」

という数字だけではなく、

「この結果をどう見ればいいのか」

かもしれません。

実際、アンケートやオープンデータをExcelで分析するサービスでも、統計的な見解を説明したり、追加料金でWordやPDFの分析レポートを作成したりしています。

研究員の仕事でも、実験結果をExcelに入力して終わりではありません。

グラフにして、何が起きているのかを考え、研究会議や報告書で説明する。

副業に置き換えるなら、

データを整える→分析する→グラフにする→結果を説明する

という一連の作業が一つの候補になります。

ここは、単に「Excelが使えます」よりも仕事としてイメージしやすい部分です。

ただし、研究データとビジネスデータは同じではない

ここは注意が必要です。

研究で実験データを扱っているからといって、売上データ、顧客データ、広告データなどをすぐ分析できるとは限りません。

数字の背景が違うからです。

たとえば実験データなら、何を測定したのか、比較条件は何か、測定誤差をどう考えるか、といった研究上の背景を理解しています。

売上データなら、商品、顧客、販売チャネル、季節性など別の背景があります。

Excelや統計という道具が共通していても、「その数字が何を表しているのか」を理解する知識は別に必要です。

だから、最初から「何のデータでも分析できます」と考えるのではなく、自分が理解しやすい分野や、作業内容が明確な仕事から考えるほうが現実的です。

Pythonができないと副業にならない?

ここまでを見る限り、答えは「必ずしもそうではない」です。

Excelによる集計・分析・グラフ作成だけでも、実際に取引されています。

一方で、仕事の範囲を広げていくと、Excelだけでは扱いにくい場面も出てきます。

たとえば、

  • 大量のデータを繰り返し処理する
  • 複数ファイルの処理を自動化する
  • 同じ分析を定期的に実行する
  • より複雑なデータ加工をする

といった仕事です。

そこでPythonなど別の道具が候補になります。

つまり、

Excelでは足りないからPythonを学ぶ

のであって、

副業をしたいから、とりあえずPythonを学ぶ

とは限りません。

この順番は分けて考えたいところです。

「案件がある」と「自分が受けられる」は別

もう一つ、実際の募集を見ると分かることがあります。

Excelやデータ分析に関する仕事が存在していても、すべてが会社員の副業に向いた条件ではありません。

短時間の単発案件もあれば、一定の稼働時間や打ち合わせ時間を求められる仕事もあります。

また、データを渡されてから初めて、想定より整理や分析に時間がかかると分かることもあります。

子育て中に取り組むなら、報酬だけではなく、

どんなデータを扱うのか何を納品するのか修正はあるのか全部で何時間くらいかかりそうか

まで見たほうがよいでしょう。

「データ分析の副業がある」という事実と、「自分の生活の中で続けられる」ということは別です。

まず、自分の仕事を4段階に分けてみる

研究員がデータ関連の副業を考えるなら、資格や新しいツールを探す前に、今の仕事を振り返る方法があります。

たとえば次の4段階です。

1.整理する
Excelへの入力、表の整理、グラフ作成。

2.加工・集計する
関数、ピボットテーブル、複数データの整理。

3.分析して説明する
統計手法を選び、結果を解釈して説明する。

4.処理を広げる・自動化する
大量データや反復作業を、Pythonなども使って処理する。

4までできなければいけないわけではありません。

1や2に当たる仕事も実際にあります。

逆に、統計解析の仕事を受けたいなら3まで必要になるでしょう。

受けたい仕事が決まって初めて、足りないスキルも決まります。

研究員としてすでにExcelや統計を使っているなら、ゼロから「データ分析を勉強する」のではなく、まず今できることとできないことを分ける。

そのうえで、

Excelをもう少し深めるのか。

統計を学び直すのか。

Pythonを追加するのか。

次の記事では、この3つを副業とのつながりから整理します。

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