会社員が資格を取る意味はある?実際に勉強して感じたメリットと限界

仕事・キャリア

会社員になってから、私はいくつかの資格を取ってきました。

危険物取扱者甲種、高圧ガス製造保安責任者(甲種化学責任者)、3級知的財産管理技能士、日商簿記3級。その後、育休中に統計検定2級とビジネス実務法務検定3級を取得し、現在は宅地建物取引士(宅建)を勉強しています。

こうして並べると、かなり分野がバラバラです。

化学や安全に関係するものもあれば、知的財産、会計、統計、法律、不動産もあります。

そして、これだけ資格を勉強してきた今でも、「会社員なら資格を取ったほうがいい」とは思っていません。

資格を一つ増やしたからといって、急にできる仕事が増えるわけではありません。転職できるわけでも、年収が上がるわけでもありません。

一方で、「それなら資格を取る意味はなかったのか」と聞かれれば、それも違います。

振り返ってみると、私にとって資格の価値は、履歴書に書ける資格が増えたことだけではありませんでした。

仕事で触れてきた知識を整理したり、知らない分野を学んだり、自分が何に興味を持つのかを考えたりするきっかけになったこと。

そこにも資格を勉強する意味があったと感じています。

この記事では、実際に複数の資格を取得・勉強してきた経験から、会社員が資格を取る意味と、資格だけでは得られないものについて整理します。

私が会社員になってから取得・勉強してきた資格

これまでに取得・勉強してきた資格を整理すると、次のようになります。

資格状況
危険物取扱者甲種取得済み
高圧ガス製造保安責任者(甲種化学責任者)取得済み
3級知的財産管理技能士取得済み
日商簿記3級取得済み
統計検定2級育休中に取得
ビジネス実務法務検定3級育休中に取得
宅地建物取引士(宅建)勉強中

最初の頃に取得した資格を見ると、メーカーで働く自分の仕事に比較的近いものが中心です。

危険物取扱者甲種や高圧ガス製造保安責任者(甲種化学責任者)は、化学を扱う仕事との距離が近い資格です。3級知的財産管理技能士も、メーカーで研究や技術に関わっていれば、特許や知的財産という言葉に触れる機会があります。

一方で、日商簿記3級、統計検定2級、ビジネス実務法務検定3級、そして現在勉強している宅建まで広げると、現在の専門分野だけに閉じた勉強ではなくなっています。

振り返ると、私にとって資格は少しずつ、「仕事に必要な知識を学ぶもの」から「自分の知識や興味を広げるもの」へも広がっていきました。

仕事に近い資格は、知識を整理するきっかけになった

会社員になってから取得した危険物取扱者甲種や高圧ガス製造保安責任者(甲種化学責任者)は、化学系のメーカーで働く自分にとって、まったく知らない分野の資格ではありません。

知的財産についても同じです。

仕事をしていれば、業務に必要な知識は少しずつ身についていきます。

ただ、仕事で触れたことがあることと、その分野を体系的に学んだことがあることは別だと感じます。

実務では、自分の担当業務に必要なところから覚えていきます。反対に、直接関係のない部分については、詳しく知らなくても仕事が進むことがあります。

資格試験ではそうはいきません。

試験範囲が決められているため、自分の仕事で普段使っている部分だけではなく、その周辺まで学ぶことになります。

「仕事で扱っているから知っている」と思っていた分野でも、資格として勉強すると、知っているところと曖昧だったところが見えてきます。

資格は実務の代わりにはなりません。

それでも、実務の中で断片的に身につけてきた知識を、一度整理し直すための枠組みとしては使いやすいと感じています。

育休中は、仕事から少し離れて資格を勉強した

育休中には、統計検定2級とビジネス実務法務検定3級を取得しました。

統計検定2級では、平均や分散、確率、推定、検定などを一つの体系として学んでいきます。

研究やデータを扱う仕事をしていると、統計に触れる機会はあります。

ただ、「使ったことがある」と「なぜその方法を使うのかまで理解している」は同じではありません。

資格として改めて勉強することで、自分が知っている部分と、理解が曖昧だった部分を整理する機会になりました。

ビジネス実務法務検定3級では、これまでの専門とは少し違う方向から、会社員として関わる法律やビジネスのルールについて学ぶことになりました。

もちろん、3級を取得したからといって、法務の実務ができるようになったわけではありません。

それでも、仕事の中で耳にする言葉を、まとまった形で学ぶ機会にはなりました。

私にとって育休中の資格勉強は、単に資格を2つ増やしたというだけではありません。

仕事から一度距離ができた時期に、これまで自分が仕事を通じて身につけてきたものと、これから学んでみたいものを考える時間にもなりました。

資格を勉強すると「分かっていないこと」が見える

資格勉強というと、「知識を増やすもの」というイメージがあります。

実際に勉強してみると、それと同じくらい意味があると感じるのが、自分が何を分かっていないのかが見えることです。

テキストを読んでいると分かった気になっていても、問題になると答えられない。

用語は知っていても、似た言葉との違いを説明できない。

計算方法は覚えていても、それが何を意味しているのかは曖昧。

試験問題を解くと、こうした理解の穴が表に出てきます。

これは実務だけでは気づきにくい部分でもあります。

仕事では、必要な結果までたどり着けば先に進める場面もあります。一方、資格試験では基礎的な部分まで問題として問われます。

その意味で資格勉強は、知識を増やすだけではなく、今の自分の知識を点検する作業にもなりました。

宅建を勉強して、資格と仕事を必ずしも直結させなくなった

現在は宅地建物取引士(宅建)を勉強しています。

化学や研究とはかなり離れた分野です。

ここまで分野が離れると、「今の仕事に必要だから資格を取る」という説明だけでは当てはまりません。

資格の意味を、

「この資格を取れば仕事に使えるか」

だけで考えると、現在の仕事と直接関係のない分野を学ぶ意味は小さく見えます。

でも、実際に勉強してみなければ、その分野に自分が興味を持てるのかも分かりません。

知らなかった制度や考え方に触れて、自分が面白いと感じる部分を知る。

資格を取得することと、その資格をキャリアでどう使うかは、必ずしも同時に決める必要はないと考えるようになりました。

仕事に直接つながる資格だけを学ぶのではなく、資格を入口にして、自分の知らない分野に触れてみる。

今は、そんな資格の使い方もあると思っています。

資格を取っても、それだけでキャリアが変わるわけではない

ここまで資格勉強の良かったところを書いてきましたが、複数の資格を取ってきたからこそ感じる限界もあります。

一番大きいのは、

資格取得と実務経験は別物だということです。

たとえば統計検定2級を取得しても、それだけでデータ分析の実務経験が生まれるわけではありません。

統計の知識を持っていることと、実際のデータを整理し、分析方法を選び、結果を解釈して、相手に説明できることには距離があります。

ビジネス実務法務検定3級を取得しても、それだけで法務担当者としての経験が生まれるわけではありません。

危険物、高圧ガス、知的財産、簿記についても同じです。

資格を持っていることと、その分野で仕事をしてきたことを同じにはできません。

資格は、その分野について学んだことを示す一つの材料にはなります。

ただ、

資格を取る→仕事ができる→転職できる→年収が上がる

と一直線につながるものではありません。

転職やキャリアチェンジを考えるなら、資格だけではなく、「これまで何をしてきたのか」「これから何ができるようになりたいのか」も一緒に考える必要があります。

資格を増やすことと、できることを増やすことは同じではない

資格試験には、分かりやすいゴールがあります。

教材を読み、問題を解き、試験を受け、合格する。

会社員としてのキャリアには明確な正解がありませんが、資格には合格という分かりやすい結果があります。

だからこそ、一つ合格すると「次は何を取ろう」と考えやすくなります。

私自身もこれだけ複数の資格を取得してきたので、資格を増やすこと自体を否定するつもりはありません。

ただ、ここで分けておきたいのが、

資格が増えることと、自分のできることが増えることは同じではない

という点です。

資格を取った後、その知識を仕事で使うのか。さらに深く学ぶのか。実際に手を動かして経験を積むのか。

キャリアにつなげたいのであれば、資格取得の先も考える必要があります。

「次は何の資格を取るか」だけではなく、

「今まで取った資格や学んだ知識を、これから何に使うか」

を考えることも必要だと感じています。

子育て中は、資格の難易度より「時間をどう使うか」も考える

育休中に資格を取得し、現在も子育てをしながら勉強していると、資格には受験料や教材費とは別のコストがあることが分かります。

時間です。

たとえば夫が夜に資格勉強をするなら、その時間にしていた家事や育児を誰かが担うことになります。

子どものお風呂、寝かしつけ、食器洗い、翌日の準備。

資格勉強の時間を確保することが、そのまま配偶者の負担増加につながるのであれば、「自分の時間だけを使って勉強している」とは言い切れません。

妻にも仕事があり、今後のキャリアがあります。

夫の資格取得を優先するために、妻の仕事や学ぶ時間を削ることを当然の前提にはしたくありません。

だから、子育て中に資格を取るなら、「何か月で合格できるか」だけではなく、家庭の中で無理なく続けられるペースなのかまで考える必要があります。

半年で取るのか、1年かけるのか。今始めるのか、少し待つのか。

短期間で取得することだけが正解ではありません。

これから資格を取るなら、3つのことを考えたい

これまで複数の資格を勉強してきた今なら、新しい資格が気になったときに、少なくとも3つのことを考えます。

1.なぜその資格を取りたいのか

今の仕事に必要なのか。

転職のためなのか。

一つの分野を体系的に学びたいのか。

単純にその分野に興味があるのか。

同じ資格でも、目的によって取る意味は変わります。

2.資格を取った後に何をしたいのか

知識を整理することが目的なら、合格までで一区切りでも構いません。

一方、データ分析を仕事にしたいのであれば、統計の資格を取るだけでなく、実際にデータを扱う経験も必要になります。

資格を取ることと、その知識を使えるようになることを分けて考えます。

3.資格でなければできないことなのか

転職が目的なら、資格の勉強より先に求人を見たり、自分の業務経験を整理したりしたほうがよい場合もあります。

新しいスキルを身につけたいなら、資格試験ではなく、実際に何かを作ったり、手を動かして練習したりする方法もあります。

反対に、「一つの分野を基礎から体系的に学びたい」のであれば、範囲とゴールが決められている資格勉強は使いやすい方法です。

資格を選ぶところから整理したい方は、転職を考えた会社員が資格を取るなら?業務経験から考える選び方でも詳しく扱っています。

それでも私が資格を勉強する理由

ここまで資格の限界を書いてきましたが、それでも私は現在も宅建を勉強しています。

複数の資格を勉強してきて感じるのは、資格が**「知らないことを体系的に学ぶための枠組み」**として使いやすいことです。

「統計を勉強する」

「法律を勉強する」

「不動産について勉強する」

そう思っても、自分だけで「何を、どこまで学ぶのか」を決めるのは簡単ではありません。

資格には試験範囲があり、教材があり、合格という一つのゴールがあります。

その枠に沿って一度学んでみると、知っていたこと、知らなかったこと、もっと知りたいことが見えてきます。

会社員になってから仕事に近い資格を取り、育休中には統計やビジネス法務を学び、現在は宅建を勉強している。

振り返ってみると、資格は私にとって**「キャリアを一発で変える武器」ではなく、その時々で自分の知識や興味を広げるための道具**に近いのだと思います。

まとめ|資格を取る意味は、資格名だけでは決まらない

会社員が資格を取る意味はあるのか。

複数の資格を取得してきた今でも、私はこれに「ある」「ない」と一言で答えることはできません。

資格だけで実務経験が生まれるわけではありません。転職や年収アップが約束されるわけでもありません。

一方で、仕事で断片的に覚えてきた知識を整理する。自分が理解できていない部分を知る。これまで触れてこなかった分野を学ぶ。自分が何に興味を持つのかを確かめる。

資格勉強には、合格した後だけではなく、その途中にも得られるものがあります。

だから「何か資格を取ろう」と思ったとき、資格名から探す前に考えたいのは、

「自分は今、何のために学びたいのか」

ということです。

その答えが見えてから資格を選べば、「資格を取ること」そのものをゴールにせず、自分の仕事やこれからのキャリアの中で、学んだことをどう位置づけるかも考えやすくなると思います。

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