育休を経験して、「これからは家庭も大切にしたい」と思うようになった。
一方で、
「でも、キャリアも捨てたくない」
「仕事をセーブしたら、将来困るのではないか」
という不安もあります。
ここまでの記事では、育休をきっかけに感じるやる気の低下や、復職への不安、価値観の変化、収入と役割分担について考えてきました。仕事へのやる気が戻らないこと、以前と同じ働き方に違和感を覚えること、妻の収入との向き合い方。どれも根っこにあるのは、「これまで通りの働き方を、このまま続けていいのか」という問いです。
この記事では、そうした変化を踏まえたうえで、家庭とキャリアをどちらか一方だけ選ぶ必要はない、というところから考えていきます。
育休前の働き方に戻る必要はない
育休から復帰すると、「以前と同じように働かなければ」と考えてしまうことがあります。
しかし、育休を経験したあとでは、仕事に対する価値観が変わっているかもしれません。
子どもが生まれる前は当たり前だと思っていた残業や休日出勤が、今では「そこまでして働く必要があるのだろうか」と感じることもあります。
それは、仕事への責任感がなくなったということではありません。
育休を経験したことで、自分にとって大切なものが変わったのであれば、復帰後の働き方も変えていいはずです。
「育休前の自分に戻る」のではなく、「今の自分に合った働き方を作る」。そんな考え方があってもいいのではないでしょうか。
「家庭を優先する=キャリアを諦める」ではない
まず、この2つを分けて考えてみます。
家庭を優先するために、
- 残業を減らす
- 時短勤務をする
- 在宅勤務を利用する
- 育児のために仕事量を調整する
ことと、「キャリアそのものを捨てる」ことは、同じではありません。
もちろん、働き方を変えることで、昇進や収入などに影響する可能性はあります。だからこそ、メリットだけでなくデメリットも含めて、自分にとって何を優先するのかを考えることが必要になります。
大切なのは、「家庭を優先する働き方」を選んだ結果として何かを失う可能性があることと、「キャリアそのものに価値がなくなった」ということを、同じものとして扱わないことです。前者は選択の結果であり、後者は自分自身の評価とは別の話です。
まず「どんな生活をしたいか」を決める
仕事の内容から考え始めるのではなく、生活のほうから逆算してみます。
例えば、
- 平日は何時までに帰宅したいか
- 子どもとどれくらい過ごしたいか
- 休日をどう過ごしたいか
- 家事・育児をどの程度担いたいか
- 最低限必要な収入はいくらか
を考えてみます。
「年収〇〇万円を目指す」という目標だけでなく、「どんな一日を送りたいか」を考えることが、働き方を決めるうえで重要になります。
次に「仕事に何を求めるのか」を整理する
仕事に求めるものは、人によって違います。
- 収入
- 安定
- やりがい
- 成長
- 専門性
- 人間関係
- 働く時間の短さ
- 働く場所の自由度
これらすべてを最大化するのは、現実的には難しいものです。
だからこそ、「自分にとって優先順位が高いものは何か」を、あらためて考えてみることに意味があります。
例えば、これまでは「収入」と「安定」を最優先にしていたけれど、今は「働く時間の短さ」や「働く場所の自由度」のほうが大切に感じる、ということもあるでしょう。優先順位は、一度決めたら変わらないものではありません。生活の状況が変われば、見直して構わないものです。
今の会社で働き方を変えられないか考える
いきなり転職を考える前に、今の会社の中でできることを検討してみます。
- 時短勤務
- 在宅勤務
- フレックスタイム
- 残業削減
- 部署異動
- 業務内容の調整
「会社を辞める」という大きな決断の前に、現在の環境で変えられるものがないかを探してみることは、無理のない第一歩になります。
会社によっては、制度としては存在していても、実際に使っている人が少ないというケースもあります。まずは人事や上司に、率直に希望を伝えてみることから始めても構いません。
それでも合わなければ転職を考える
今の会社では、どうしても望む生活を実現できないこともあります。
その場合は、「今の会社が嫌だから」という理由だけでなく、「どんな働き方を実現したいから転職するのか」を明確にしておくことが大切です。
例えば、
- 残業が少ない
- 在宅勤務が可能
- 勤務時間を調整しやすい
- 育児への理解がある
- 専門性を活かせる
といった条件です。「転職すること」自体を目的にするのではなく、転職によって何を変えたいのかを考えることが出発点になります。
転職活動は、必ずしも今の会社を辞める前提で始める必要はありません。まずは求人情報を眺めてみたり、話を聞いてみたりするだけでも、今の自分の市場価値や、他にどんな選択肢があるのかが見えてきます。
副業やスキルアップという選択肢もある
今の仕事をすぐに辞める必要はありません。
会社員を続けながら、
- 新しいスキルを身につける
- 副業を試してみる
- 資格を取得する
- 将来的な転職先を調べておく
など、少しずつ選択肢を増やしていくこともできます。
特に育児中は、いきなり人生を大きく変えるより、小さく試しながら判断していくほうが、現実的な場合もあります。
例えば、平日の隙間時間や、子どもが寝たあとの短い時間を使って、資格の勉強を始めてみる。休日に少しだけ副業の案件を試してみる。そうした小さな一歩でも、「今の会社以外の選択肢がある」と実感できることには意味があります。
キャリアは「一直線」でなくてもいい
20代や30代のうちは、「同じ会社で昇進し続けることがキャリアだ」と考えやすいものです。
しかし、家庭環境によって、働き方を一時的に変えることもできます。
例えば、
仕事を優先する時期
↓
育児を優先する時期
↓
子どもの成長に合わせて仕事を増やす時期
というように、人生の時期によって、仕事との距離を変えてもいいはずです。
これは自分だけの話ではありません。妻にもキャリアがあり、時期によって、夫婦のどちらが仕事に比重を置くかが入れ替わることもあります。キャリアを一つの直線として捉えるのではなく、夫婦それぞれの人生全体の中で考える視点が役に立ちます。
一方が仕事に比重を置く時期は、もう一方が家庭に比重を置く。数年後には、その関係が入れ替わるかもしれない。そうした柔軟さを持てるかどうかは、夫婦でどれだけ率直に希望を話し合えているかにもかかっています。
「今の自分」と「10年後の自分」を分けて考える
今は家庭を優先したいと感じていても、10年後には、仕事をもっと頑張りたいと思うようになるかもしれません。
逆に、今は仕事を続けたいと思っていても、数年後には働き方を大きく変えたいと感じることもあるでしょう。
だからこそ、「今どうするか」だけで、人生全体を決めてしまう必要はありません。今の選択は、あくまで今の時期に合った選択として捉えておくくらいで十分です。
数年おきに、「今の自分は何を優先したいか」を見直す機会を持つ。それくらいの気持ちで、働き方と向き合っていくのが現実的かもしれません。
まとめ|家庭を大切にしながら、自分なりのキャリアを作る
ここまでの内容を整理すると、次のような流れになります。
- どんな生活をしたいのかを考える
- 仕事に何を求めるのかを整理する
- 今の会社で変えられることを探す
- 必要であれば、転職や副業を検討する
- 長期的なキャリアとして捉え直す
「家庭を優先すること」と「キャリアを諦めること」は、同じではありません。
育休をきっかけに感じたやる気の変化や、復職への不安、価値観の揺らぎは、これからの働き方を考え直すための材料になります。それらは、なくすべきものではなく、これからどう働きたいかを教えてくれるヒントでもあります。
今すぐすべての答えを出す必要はありません。少しずつ、自分と家族にとって納得できる形を探していけば十分です。
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