育休中に、仕事へのやる気がまったく出ない。
育休を取ったら仕事へのモチベーションがなくなったという前回の記事では、それは怠けではなく、必ずしもおかしいことではないと書きました。ただ、「おかしくない」と分かっても、「なぜ自分はそうなったのか」までは分かりません。
この記事では、「育休中に仕事のやる気が出ない」という状態を一つの塊として見るのではなく、考えられる4つの理由に分けて整理していきます。
すべてに当てはまる人もいれば、一つだけ強く当てはまる人もいるはずです。まずは、自分がどの理由に近いのかを考えるところから始めてみましょう。
「やる気が出ない」を一括りにしない
「仕事へのやる気が出ない」という状態は、一見するとひとつの症状のように見えます。
しかし、その中身をよく見ていくと、まったく性質の違う原因が隠れていることがあります。
例えば、
- もともと仕事の内容にモヤモヤを抱えていた人
- 育児中心の生活リズムに慣れて、仕事モードに戻る感覚が薄れている人
- 子どもと過ごすうちに、仕事の優先順位そのものが変わった人
- 復職後の環境や評価に不安を感じている人
これらは、どれも「やる気が出ない」という同じ言葉で表現されますが、原因はまったく異なります。
原因が違えば、当然、必要な考え方も変わってきます。仕事への不満が原因なのに、生活リズムの問題だと思い込んでいると、いつまでも状況は変わりません。
ここからは、代表的な4つの理由を順番に見ていきます。
理由① 仕事そのものへの不満や停滞感
一つ目は、育休とは関係なく、もともと仕事そのものに不満や停滞感を抱えていたケースです。
例えば、
- 同じ業務の繰り返しで、成長している実感が薄れていた
- 評価のされ方や昇進の仕組みに納得できていなかった
- 職場の人間関係にストレスを感じていた
こうした不満は、忙しく働いているあいだは意識にのぼりにくいものです。目の前の仕事をこなすことで精一杯で、立ち止まって考える余裕がないからです。
ところが育休に入り、仕事から距離を置く時間ができると、それまで見て見ぬふりをしていた不満に、あらためて気づくことがあります。
このケースでは、育休が原因でやる気がなくなったのではなく、育休が「もともとあった不満に気づく時間」を与えた、と捉えるほうが実態に近いかもしれません。
理由② 生活環境や時間の使い方が変わった
二つ目は、育児中心の生活に体が慣れたことで、単純に「仕事モード」の感覚が薄れているケースです。
仕事へのやる気は、意志の力だけで生まれるものではありません。決まった時間に起き、身支度をして、通勤し、オフィスや現場で仕事に集中する。そうした一連の環境やリズムによって、ある程度は作られています。
育休中は、この環境が大きく変わります。
- 起きる時間や寝る時間が、子どものリズムに左右される
- 一日の大半が育児と家事に占められる
- 仕事について話す相手が身近にいない
こうした生活を数か月続けていると、「仕事に向かう感覚」そのものが薄れていくのは、自然な変化です。
これは、仕事への不満とは別の話です。環境が変われば、感覚も変わる。それだけのことです。
理由③ 仕事に対する価値観や優先順位が変わった
三つ目は、子どもと過ごす時間を通じて、仕事に対する価値観や優先順位そのものが変わったケースです。
以前は当たり前だと思っていた働き方が、育児を経験したことで、以前とは違う意味を持つようになる。そうした変化を感じている人もいるでしょう。
この理由については、次回以降の記事で詳しく掘り下げます。ここでは、「やる気が出ない理由の一つとして、価値観の変化がある」という点だけ押さえておいてください。
理由④ 復職への漠然とした不安
四つ目は、復職そのものへの不安が、「やる気の出なさ」という形で表れているケースです。
- 育休中のブランクで、仕事についていけるか不安
- 自分がいないあいだに、周囲が先に進んでいるのではないかという焦り
- 育児と仕事を両立できるイメージが持てない
こうした不安は、「やる気が出ない」とは少し違う感情です。ただ、不安を感じ続けていると、仕事について考えること自体を避けたくなり、結果として「やる気が出ない」という形で表面化することがあります。
この場合、必要なのはやる気を出す工夫ではなく、不安の中身を具体的にすることです。何に対して不安なのかがぼんやりしたままだと、対処のしようがありません。
復職への不安については、次の記事でもう少し詳しく取り上げます。
理由は一つとは限らない
ここまで4つの理由を紹介しましたが、実際には、どれか一つだけに当てはまる人ばかりではありません。
多くの場合、複数の理由が重なり合っています。
例えば、
- もともと仕事に停滞感があり(理由①)、なおかつ復職後の環境にも不安がある(理由④)
- 生活リズムが変わったことで(理由②)、あらためて価値観の変化に気づいた(理由③)
といったように、理由同士は互いに影響し合っています。
ここで気をつけたいのは、原因を一つに決めつけてしまうことです。
「自分は育休で価値観が変わっただけだ」と思い込んでいても、実際には仕事そのものへの不満が大きな割合を占めている、ということもあります。逆に、「仕事が嫌になっただけだ」と思っていたら、実は復職への不安のほうが根本にあった、ということもあるでしょう。
原因を取り違えたまま考えを進めると、対処の方向を見誤りやすくなります。
自分の場合はどれに近いか考えてみる
ここまで読んで、自分はどの理由に近いと感じたでしょうか。
- 仕事の内容や環境に、もともと不満はなかったか
- 育児中心の生活に慣れて、仕事の感覚が薄れているだけではないか
- 子どもができて、大切にしたいものが変わったのではないか
- 復職後のことを考えると、何が一番不安か
すべてに無理やり答えを出す必要はありません。
大切なのは、「やる気が出ない」をひとまとめにせず、自分の状態を少し分解して見てみることです。それだけでも、これから何を考えればいいのかが、少しずつ見えてきます。
まとめ|「なぜ」が分かれば、次に考えることが見えてくる
育休中に仕事のやる気が出ない理由として、この記事では次の4つを紹介しました。
- 仕事そのものへの不満や停滞感
- 生活環境や時間の使い方の変化
- 仕事に対する価値観や優先順位の変化
- 復職への漠然とした不安
「育休を取ったから、やる気がなくなった」という一言で片づけてしまうと、本当の原因が見えなくなってしまいます。
複数の理由が重なっていることも多いという前提で、まずは自分の状態を分けて考えてみる。それが、次にどう向き合うかを考えるための出発点になります。
「そもそも、なぜやる気がなくなったのか自体が分からない」という段階を抜けたら、次は、それぞれの理由についてもう少し具体的に考えていくことになります。
中でも、「復職したくない」という気持ちが強く残っている場合、それは単なるやる気の低下では説明しきれないこともあります。次の記事では、その気持ちについてもう少し深く掘り下げていきます。
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