妻のほうが稼いでいる。生活にも困っていない。自分も働いている。
それでも、「自分は妻の収入に頼っているだけなのではないか」と思うことがあります。
妻が忙しく働いている横で、自分は残業を減らしたいと思っている。妻が仕事で成果を出している一方で、自分は以前ほど昇進に興味を持てなくなった。
そんなとき、「自分だけラクをしようとしているのではないか」という感覚が出てくることがあります。
この記事では、「妻より稼いでいるかどうか」ではなく、その後ろめたさがどこから来ているのかを、一つずつ考えていきます。
「妻の収入に頼っている」と感じるとき、本当に気になっているのは何か
「妻の収入に頼っている」という一言の中には、いくつかの違う悩みが混ざっていることがあります。
たとえば、
- 妻より年収が低いこと自体が気になる
- 自分の収入だけでは、今の生活水準を維持できないことが気になる
- 妻だけが仕事を頑張っているように見える
- 自分のキャリアが止まっている気がする
- 周囲から「妻に養ってもらっている」と思われるのが嫌
- 自分自身が、今の働き方に納得できていない
同じ「妻の収入に頼っている気がする」という悩みでも、その中身は同じとは限りません。
ここでは、まだ答えを出さなくて構いません。
まずは、自分が何に引っかかっているのかを分けてみるところから始めてみます。
「妻より稼げない」より「自分だけラクをしている気がする」
単純な年収の比較よりも、「妻は仕事を頑張っているのに、自分は仕事への熱量を下げている」という感覚のほうが、後ろめたさにつながっている場合があります。
たとえば、妻は仕事で責任のある立場にいる。
一方で夫は、育休をきっかけに、
- 残業を減らしたい
- 昇進を以前ほど望まなくなった
- 家族との時間を増やしたい
と考えるようになった。
そうすると、
「妻が頑張っているから、自分はラクができる」
という構図に見えてしまうことがあります。
ただ、夫婦で仕事への向き合い方が同じでなければならないわけではありません。
妻がどれだけ仕事に力を注ぎたいかと、夫がどれだけ仕事に力を注ぎたいかは、本来は別の話です。
それでも引っかかるのであれば、「妻より稼いでいないこと」ではなく、「自分は以前より仕事を頑張っていないのではないか」という自分自身への評価が気になっている可能性もあります。
妻の働き方と自分を比べてしまうとき
妻が高収入であるだけでなく、仕事を大切にしていたり、忙しく働いていたりする姿を日常的に見ていると、自分の働き方と比べてしまうことがあります。
ただ、妻が仕事を頑張りたいことと、夫が家族との時間を増やしたいことを、同じものさしで測る必要があるのでしょうか。
たとえば妻が、
「今の仕事が好きだから続けたい」
「もっと責任のある仕事をしたい」
と考えている。
一方で夫が、
「子どもが小さい間は、平日の夕方も一緒に過ごしたい」
「仕事だけに時間を使う生活には戻りたくない」
と考えている。
この二つは、必ずしもどちらかが正しく、どちらかが間違っているという関係ではありません。
問題になるとすれば、妻と同じように働いていないことそのものより、自分自身が今の働き方をどう受け止めているかなのだと思います。
「妻が稼いでいるから」を、自分の選択の理由にしていないか
ここは、一度少し踏み込んで考えてみたいところです。
たとえば、
「妻が稼いでいるから、転職しなくてもいい」
「妻が稼いでいるから、昇進しなくてもいい」
「妻が稼いでいるから、残業を減らしてもいい」
と考えているとします。
もちろん、夫婦の収入状況は働き方を考えるうえで大切な条件です。
ただ、それぞれは本当に自分が望んでいることなのでしょうか。
それとも、まだ決めきれていない自分の気持ちを、「妻が稼いでいるから」という言葉で説明しているだけなのでしょうか。
本当は今の仕事が嫌なのか。
仕事そのものではなく、今の会社や働き方が合わないのか。
子どもとの時間を増やしたいのか。
単純に疲れているのか。
仕事以外にやりたいことがあるのか。
同じ「仕事を抑えたい」という気持ちでも、その理由は違います。
「妻が稼いでいるから」という説明の後ろに、自分自身は本当はどうしたいのかが隠れていないか。
そこまで考えてみると、「妻の収入に頼っている」という悩みとは、少し違うものが見えてくることがあります。
「もっと稼げば、この後ろめたさは消えるのか」
一度、自分にこう問いかけてみてください。
もし自分の年収が100万円上がったら、この気持ちはなくなるだろうか。
あるいは、
妻と同じくらいの年収になれば、解決するだろうか。
もちろん、実際に収入を増やす必要がある家庭もあります。
生活に必要な収入を考えることと、ここで扱っている後ろめたさは分けて考える必要があります。
ただ、問題が収入額そのものではなく、
- 自分のキャリアへの納得感
- 自分だけ頑張っていないという感覚
- 以前思い描いていた自分とのずれ
にあるのだとしたら、年収だけを上げても違和感が残る可能性があります。
年収を上げることに意味がない、ということではありません。
自分が解決したい問題は、本当に収入なのか。
そこを一度確かめてみることが大切です。
もし収入の問題が解決しても違和感が残りそうなら、考えたいのは年収そのものではなく、自分の働き方への納得感なのかもしれません。
妻への感謝と、自分を低く評価することは別
妻が働き、収入を得ていることで、家庭として選べることが増えている。
そのことに感謝する気持ちはあると思います。
ただ、
「妻のおかげで生活できている」
という気持ちと、
「だから自分は価値が低い」
という自己評価は別のものです。
この二つを結びつける必要はありません。
一方で、「妻に感謝しているのだから、自分は何もしなくていい」という話でもありません。
妻への感謝と、夫自身が自分の仕事や家庭への関わりをどう考えるかは、切り分けて考えたほうが整理しやすくなります。
「頼っているか」ではなく、自分の働き方を自分の言葉で説明できるか
ここまで考えてきたことを整理するために、一つ試してみたいことがあります。
「妻が稼いでいるから」という言葉を使わずに、今の自分の働き方を説明してみることです。
たとえば、
妻が稼いでいるから、自分は昇進しなくてもいい。
ではなく、
自分は今、昇進よりも「○○」を大切にしたい。
と考えてみます。
あるいは、
妻が稼いでいるから、残業を減らせる。
ではなく、
自分は「○○」という理由で、残業の少ない働き方を選びたい。
と置き換えてみます。
この「○○」に何を入れられるでしょうか。
子どもと過ごす時間かもしれません。
自分自身の時間かもしれません。
今の仕事を無理なく続けることかもしれません。
あるいは、すぐには何も浮かばないこともあります。
それでも構いません。
むしろ言葉が出てこないのであれば、まだ自分の中で整理できていない部分があると気づくきっかけになります。
なぜ今の仕事を続けているのか。
仕事に何を求めているのか。
これからどう働きたいのか。
これらを「妻が稼いでいるから」を使わずに考えてみる。
そうすると、妻の年収を基準にするのではなく、自分自身が何を選びたいのかが少し見えやすくなります。
それでも「妻の収入に頼っている」と感じるなら
ここまで考えても、まだ引っかかりが残ることはあります。
その場合は、「妻の収入に頼っている」という一つの言葉で考え続けるより、悩みをもう少し具体的に分けてみるとよいと思います。
家庭の中で自分は何を担うのかが気になる方は、妻のほうが稼いでいる家庭で、夫の役割はどう考える?収入だけでは決められないことで詳しく整理しています。
これからの働き方そのものを考えたい方は、妻のほうが年収が高い家庭で、夫はどう働くべき?へ。
夫が育児を多く担うという選択について考えたい方は、妻が高収入の家庭で夫が育児を担うという選択|「男は稼ぐべき」に縛られない働き方も参考にしてみてください。
そもそも自分が何を大切にしたいのか分からないという方は、育休中に「これからどう生きる?」と悩んだパパへ|仕事だけではない人生の考え方で、仕事以外も含めて整理しています。
一人ではうまく考えがまとまらない場合は、育休中に人生に悩んだら誰に相談する?パパが話せる相手と相談先を整理も参考になると思います。
まとめ
「妻の収入に頼っているのか」という問いだけでは、自分が本当に悩んでいることが見えない場合があります。
気になっているのは収入差そのものなのか。
妻だけが頑張っているように見えることなのか。
それとも、自分自身が今の働き方をまだ納得して選べていないことなのか。
まずは、そこを分けて考えてみる。
そして一度、「妻が稼いでいるから」という言葉を使わずに、自分がなぜ今の働き方を選んでいるのか説明してみる。
その言葉が見つかれば、「妻に頼っている夫なのか」という問いから少し離れて、自分自身の働き方として考えられるようになると思います。
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